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熊沢蕃山

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孝経小解-紀孝行[2]

父母病み煩ひある時は、憂ひ慮りを尽くしては医治いじを求む。
我が身に病あるよりも切にして、昼夜おこたる事なし。
平服の方、いたらずといふ事なし。

父母、天然の数つきて、長き別れのいたみに服するを喪といふなり。
孝子全体の精神、父母にあり。
不幸にして父母におくれ、其の声音を聞かず、其の顔色を見ず、寂寞せきばくとして、よらんかたなし。
哀心あいしんの痛切を尽すのみ。

死生は昼夜の道にして、天理の常なり、かぎりあれば久しくなげくべからず。
喪を除いて祭るは、吉禮きつれいに変ず。
夫れ祭りは人鬼じんき相ひ交はるの道なり。
父母、人身を去りて、鬼神となる。
子の心、誠に清らかでは、来格らいかくし受けざらんことを恐る。
故に斉戒さいかい、沐浴す。
しん、並びに厚味こうみの物を食わず、酒を飲まず、精神の清く、心、静かならん事を欲してなり。
厳敬、至らずといふ事なし。

敬、楽、憂、哀、厳の五つの行ひ備はるは、子のよく親に事ふる者なり。

出典・参考・引用
中江藤樹訳、熊沢蕃山(伯継)述「孝経」51-52/88
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古典
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語句解説

吉礼(きつれい)
祭祀。めでたい儀式。
来格(らいかく)
いたる。祭祀などにおいて、神霊が降ること。格は至る意。
斉戒(さいかい)
ものいみして心身を清めること。
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