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熊沢蕃山

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孝経小解-聖治[4]

しんは五典の第一、父子の親なり。
是を膝下しっかに生ずる者は、たいを下るの一声より、赤子の純一無雑の心、親の本源なり。
是をにゅうにして養へば、神の知をひらくに随って、父母を愛する心を生ず。
是に食せしめ、是にせて養へば、子の心に父母を敬する思ひ生ず、成人に随って、父母を敬する心、益々厳なり。
家に厳君あるは、父母の謂ひなりと、易経にものたまへり。
故に君臣の義、夫婦の別、長幼の序、朋友の信、皆な親しみあらずと云ふ事なし。
人の頭となる者を与親よしんと云ひ、与子よしといへり。
人の頭となる者は、おとなしく父母の心になりて親しむ義なり。
故に大学の三綱には、五倫を民の字にすべ、五典を親の字にすべて、民に親しむに在りとあり。
五典、十義は相親しむ中の條理なり。
此の親しみ父母によりて生ずれば、父母より親しきはなし。
故に父母を親といへり。
五倫皆な孝なれども、父母に事ふるを孝といふが如し。
人を親しむの道も、欲あり惑ひありては、親しむ事あたはず、故に明徳を明らかにして、全く親しまん事を欲す。
又た人を親しむの修行にあらざれば、明徳全く明らかならず。

出典・参考・引用
中江藤樹訳、熊沢蕃山(伯継)述「孝経」42-43/88
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語句解説

膝下(しっか)
ひざもと。父母や主君などのそば近く。また、父母を尊んでいう。
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