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熊沢蕃山

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孝経小解-聖治[3]

四海は東西南北、海浜に至るまでの諸侯来朝し、方物ほうぶつこうす。
方物は、道あるにも道なきにも、定まれる禮義なり。
其の職を以ては、各々諸侯国の父母たるの天職を修めて、国中の悦ぶ心を得るを以て、天子を助くるなり。
故に天神、地祇ちぎ、宗廟の神、感応ぜずといふ事なし。
孝治の至りなり。
堯舜の至治と雖も、是より外ならず。
故に聖人の徳と雖も、孝に加ゆる事なきとなり。
中江氏曰く、
聖人の峻徳と雖も、孝徳本然の量を充つるのみ。
故に云ふ、聖人の徳、又た何を以てか孝に加へんや、と。
此の解、至当なり。
夫れ孝は、聖人によりて広大の徳あらわれ、聖人は孝の全徳を充たさんと欲し給ふ。
則ち堯舜その人なり。

出典・参考・引用
中江藤樹訳、熊沢蕃山(伯継)述「孝経」42/88
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古典
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語句解説

方物(ほうぶつ)
地方の物産。また、物を識別すること。
地祇(ちぎ)
地の神。くにつかみ。
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