熊沢蕃山
孝経小解-孝治[4]
災害は天より降し生ずる戒めなり。
日月の変、長雨、洪水、
天道は常なり、災害は変なり、変は人心の
明王の
禍乱は人よりなれり。
教へなく道行はざれば、人、利欲を事として、仁義を尊ばず。
利による時は、主従、父子、兄弟、伯父甥の親しきも、欲の心より口論
かくのごとき類いを人禍といふ。
甚だしければ、匹夫は喧嘩して
其の外、人の物を盗みとり、人の妻子をおかし、追いはぎ、強盗などの人を殺すは、皆な人禍なり。
今、明王の政教平らかにして、人、仁義を尊びて利欲を忘るる故に、口論、
故に禍乱
明王、上より忠あれとの教へはなけれども、孝の教へによりて、家ごとに孝子たれば、天気和し、
是れ国皆な忠臣となりたるなり。
天地人の気、大いに和して清明なる時は、鳳凰
かくのごとくの至極の治は、孝よりなることを知り給ふ所、明王の知なり、天地、易簡の善を得て、至徳の配する所なり。
彼の高明、広大、玄妙深遠の理を説ひて、大道といふ者は、すべて小道なり、孝道の問学による一事のみ。
- 出典・参考・引用
- 中江藤樹訳、熊沢蕃山(伯継)述「孝経」37-38/88
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