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熊沢蕃山

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孝経小解-三才[3]

民は五行の秀気、萬物の霊なり。
純粋、至善の天道より生じたる者なれば、性は皆な善なり。
今、不善をする者、もとくせなき馬を、下手の乗りて、くせを付けたるがごとし。
教能きょうのうは、不善を化して、善となすべき所を見給ふなり。
教へも、跡になづみ、格法かくほうに落ちて、地所位じしょくらいの至善を、しらざれば、行はれず、故に旧きをたづねて、新しきを知る、を師たるべしといへり。
旧きは古人の言行なり、いにしへを師とす。
新しきは今、行なふべき至善を得るなり。
古人の跡をみて、其の世の時所位じしょいにかなへる心を知るべし。

大君は、三公、九卿、大夫を以て、耳目じもく口鼻こうび手足しゅそくとし、諸侯を兄弟けいていとし、民を子とす、是を博愛と云へり。
先王の心に、此の博愛ありといへども、政教には施さざれば、広く及ぶことなし。
故に禮楽政教を以て、あまねく及ぼすを先んずるといへり。
是を鼓し、是をし、民、感化す。
天性の親愛を興起して、五倫、和睦す。
是を其の親しみを忘るる事なしといへり。

出典・参考・引用
中江藤樹訳、熊沢蕃山(伯継)述「孝経」29/88
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