酔古堂剣掃-法部[59]
原文
見人有得意事。便當生忻喜心。見人有失意事。便當生憐憫心。皆自己真實受用處。忌成樂敗。何預人事。徒自壊心術耳。
書き下し文
人の得意の事有るを見ては、
人の失意の事有るを見ては、便ち当に
皆な自己真実受用の処、
現代語訳・抄訳
人が得意のときには心から喜び、人が失意のときは心から悲しむべし。
これらはいずれも自らの身心を全くして達する所以、人の成功を忌み、人の失敗を楽しむ事が、どうして人事に関係しようか。
いたずらに自らの身心を破るのみである。
- 出典・参考・引用
- 塚本哲三編「酔古堂劒掃・菜根譚」209/315
<< 前のページ | ランダム | 次のページ >> | |
備考・解説
人事は文字通り、人の事。
人の成功を忌み、人の失敗を楽しむとて何のことかあらん。
ただ自らの心を失うのみ。
人情を共にして己を尽くせば、百福至る。
みえるとみえざるとに関わらず、自ずから然るのである。