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酔古堂剣掃-法部[45]

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原文

才人國士。既負不羣之才。必負不羈之行。是以才稍壓衆。則忌心生。行稍違時。則側目至。死后聲名。空譽墓中之骸骨。窮途潦倒。誰怜宮外之蛾眉。

書き下し文

才人国士、既に不群ふぐんの才を負へば、必ず不羈ふきの行ひを負ふ。
是を以て才やや衆をあっすれば、則ち忌心きしん生じ、行やや時に違へば、則ち側目そくもく至り、死后しごの声名、空しく墓中ぼちゅうの骸骨を誉む。
窮途きゅうと潦倒ろうとうするも、誰か宮外の蛾眉がびあはれまんや。

現代語訳・抄訳

才の衆に優れ、一国に並ぶべきのない程の者なれば、必ず常人には測るべからざるの功業を負う。
この故に、才が少しでも衆を抑えこめば、たちまち忌む心が生じ、行が少しでも時に違えば、たちまち嫉視しっし生じて非難至り、死後の声名が空しく墓中の骸骨を誉めるばかりである。
たとえみち窮まり落ちぶれるとも、誰が宮外にさまよう美人を憐れむだろうか。

出典・参考・引用
塚本哲三編「酔古堂劒掃・菜根譚」208/315
関連タグ
酔古堂剣掃
陸紹珩
古典
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語句解説

不羈(ふき)
束縛されないこと。羈はたづなの意で、不羈は御しきれぬことをいう。
潦倒(ろうとう)
落ちぶれること。老衰し張りをなくしてだれる様。
蛾眉(がび)
美人の称。蛾の触角のように三日月形で細く長い眉。
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