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孫武

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孫子-虚実[5]

故に之をはかりて得失の計を知り、之をおこして動静の理を知り、之を形して死生の地を知り、之を角して有餘不足の処を知る。

現代語訳・抄訳

故に敵と較べて得失の計を知り、敵を揺さぶって動静の理を知り、敵を備えさせて死生の地を知り、敵を試みて有余不足の処を知る。

出典・参考・引用
山鹿素行注・解「孫子諺義」98-99/183
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古典
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備考・解説

之をはかるは、根本たるべき五事を以て七計をはかる。
孫子始計篇に曰く「之をおさむるに五事を以てし、之をこうするに計を以てす」と。
道天地将法を五事といい、主君の有道、将の有能、天地の有無、法令の実行、士卒の練磨、賞罰の明白を七計という。
そして、これを廟算するによって策という。
之をおこすとは、穏やかなる海に波風を立てるが如きをいう。
孫子虚実篇に曰く「敵、いつせば能く之を労し、飽かば能く之をやし、安んぜば能く之を動かす」と。
波風立つも、悠然と進みて乱れざれば時を得ず、乱れて応ずる能はざれば破るに易し。
人を致して人に致されざれば、勝ちを得ること掌上に運らすべし。
之を形するとは、彼をして我に備へしむるをいう。
孫子兵勢篇に曰く「鷲鳥の疾き、毀折きせつに至る者は、節なり」と。
備へしむれば形有り、故に攻むべき所、攻むべきでない所が明らかとなる。
故に敵の節を衝くに至る、以て死生の地を知るという。
之を角するとは、攻守の虚実何処にありやと試みるをいう。
孫子軍形篇に曰く「守るは則ち足らず、攻むるは則ちあまり有り」と。
虚を知らば、九地の下に蔵し九天の上に動きてこれを撃つ。
勝負を知り、戦うべき時を知り、戦うべき地を知り、虚実を知る。
これ全勝の所以、勝ち易きに勝ち、既に敗るるに勝つの道なり。

山鹿素行曰く、
策と作とは謀なり、形と角とは形にして其の位をはかるなり。
計はかれが計なり、理は條理なり、動静の條理有無を考ふるなり。
地は其れ之の陣これによる処の地、処は定まる所無し、只だ其の有餘不足のある処なり。
得失は計なり、動静は兵の用なり、死生は地、有餘不足は、兵の事物なり。
四の知の字、此の段の眼目なり。
能く知によって虚実疑ふべからざるなり、と。
山鹿素行曰く、
策作形角の四、戦法を以て云ふときは、先づ謀を内に定め、其の得失を詳らかにするを策と云ふ、而して城を攻め戦をなすとも、先づ問動をいたし、或ひはひそかにおびやかし、たちまち攻の勢をなし、夜々関のこへを発し、彼をあざむき位をみるは、作なり。
我れ先づ戦地をとり高陽の場をみきり所といたし、彼が備へ陣して其のよる処を以て、死生の地を考ふるなり、これ形なり。
角は相対して動かざるときは、ひそかに左右へ兵をまわして、其の後をうち、或ひは軽兵を発して、其の前後左右よりふるるとき其の形勢の有餘不足かくすべからざるなり、と。

語句解説

毀折(きせつ)
毀損すること。やぶれこわれる。
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