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孫武

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孫子-作戦[3]

故に敵を殺す者は、怒ればなり。
敵の利を取る者は、貨すればなり。
車戦に車十乗以上を得れば、先づ得る者を賞して、其の旌旗せいきふ。
車はまじへて之に乗り、卒はよみして之を養ふ。
是れを敵に勝ちて其の強をすと謂ふ。

現代語訳・抄訳

勇んで敵に向かうは、励まし怒らせて士気を高めるが故であり、勇んで敵のかなめを奪わんとするは、それを功として賞するが故である。
例えば車戦において車十乗以上を得るが如き大勝を得れば、一番乗りした者を顕賞してその車の旗印を代え、その武勇功名を広く知らしめ、得た車は自軍に編入してこれを用い、捕らえた士卒は歓迎してこれを養うのである。
これを敵に勝ちてその強をすという。

出典・参考・引用
山鹿素行注・解「孫子諺義」46-48/183
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古典
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備考・解説

尉繚子曰く、
民の以て戦ふ可き者は、気なり、と。
百戦奇法に云はく、
凡そ敵と戦ふ、須らく士卒を激励し、忿怒ふんどせしめて而る後に出でて戦ふべし。
法に曰く、敵を殺す者は怒らすなり、と。
大全に云はく、
怒を軍に蔵す、心触る有らばここに発す、発する有らば則ち勝つ、而して機権以て之を激する有るに在り。
之を激すれば則ち怒は心より生ず、以て水に入りてうるほはず、火をみてあつからざる可し。
其れ敵を殺すに於いてや何か有らん、田単でんたん燕をあざむき城外の塚墓ちょうぼを掘らしめ、而して士卒遂に激怒して燕を攻むる是なり、と。
三略に云ふ、
軍、財無ければ士、来たらず。
軍、賞無ければ士、往かず、と。
李卓吾云ふ、
敵の利を取る者は貨、貨を以て人に与ふ、乃ち敵を取る可し。
趙充国、金城を守り、羌豪を誘ひ、自ら相ひ斬捕し、一人を獲る毎に、銭四十万をあたへ、羌人自らひきつれ、先零坐してくるしむが如き是れなり、と。

語句解説

旌旗(せいき)
旗印のこと。色鮮やかな旗。
機権(きけん)
臨機応変。
田単(でんたん)
田単。戦国時代の斉の将軍。斉が燕の楽毅によって滅亡に瀕した際に、反間の計で楽毅を失脚させて国を救った。燕を一夜のうちに壊滅させた火牛の計は有名。
趙充国(ちょうじゅうこく)
趙充国。前漢の名将。羌族の討伐においては見事な懐柔策と屯田策で圧倒。その出陣の際に述べた「百聞は一見に如かず」の言葉は有名。
羌豪(きょうごう)
おそらく羌の部族、豪族の意。
先零羌(せんれいきょう)
羌の部族の一。前漢・宣帝の代に羌族の首魁として反乱を起こすも趙充国によって鎮圧された。
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