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孔子

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論語-泰伯[4]

曾子やまひ有り、門弟子もんていしを召して曰く、
が足をひらけ、予が手を啓け。
詩に云ふ、戦戦兢兢として、深淵に臨むが如く、薄冰はくひょうを履むが如しと。
而今而後じこんじご、吾れ免るるを知るかな、小子しょうし、と。

現代語訳・抄訳

曾子は病を得て死期が近づくと、門下の者達を呼んで言った。
我が手足の無事なるを見よ。
詩経にいう、深淵に臨むが如く、薄氷を踏むが如くに恐れ慎めと。
今より後、吾はこの無事なる手足を損なわざるを知る。
皆なもまた善く慎みて全うするのだ、と。

出典・参考・引用
久保天随著「漢文叢書第1冊」258-259/600,簡野道明著「論語解義」134/358
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備考・解説

免れるは、死を得るによって手足を損なわずして全くしたまま逝けることをいう。

范氏曰く、
身體すら猶ほく可からざるなり。
況や其の行を虧きて以て其の親を辱むるをや、と。
陳新安曰く、
前日常に此の身を保ち難きを恐る、幸ひに今日此の身を全く保つを得ることを述ぶるなり、と。
金仁山曰く、
戦戦兢兢とは、曾子身を終りて是れ此の如し、古より聖賢皆な然り、但し曾子終りに臨んで、又た説き出で以て学者に示すのみ、と。
程子曰く、
君子に終と曰ひ、小人に死と曰ふ。
君子は其の身を保ちて以て没す、其の事を終るが為なり。
故に曾子全て帰するを以て免ると為す、と。
輔慶源曰く、
終は其の始を成すの辞、死は則ちようやく尽きて泯没びんぼつするの謂ひ、君子は平日に身を保つを以て事と為す、故に将に没せんとするを以て、以て終と言ふ可し、と。
檀弓の上篇の註に云く、
終は始に対して言ふ、死は則ち漸く尽きてあます無きの謂ひなり。
君子は行成り徳を立つ、始め有りおはり有り、故に終と曰ふ。
小人は郡物ととも栃腐きゅうふを同うす、故に死と曰ふ、と。
尹氏曰く、
父母全くして之を生む、子全くして之を帰す。
曾子終に臨みて手足をひらくは、是が為の故なり。
道を得ること有るに非ざれば、能く是の如くならんや、と。

語句解説

曾子(そうし)
曾子。曾参。春秋時代の思想家。字は子輿。孔子の弟子。孝行で知られ、「孝経」を著したとされる。
而今而後(じこんじご)
今より後。今後。而今は「今にして」、而後は「その後」の意。
泯没(びんぼつ)
ほろびる、なくなる、消失する。
栃腐(きゅうふ)
朽腐。腐り朽ちる。栃は朽に通ず。朽が栃の誤字との説あり。
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