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北条氏綱

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五箇条の御書置[第二条]

侍中より地下人・百姓等に至るまで、何れも不便ふびんに存せらるべく候。
すべて人に捨りたる者はこれなく候。
器量・骨柄・弁舌・才覚人に勝れたる、然も文道に達し、天晴れ能き侍と見る所に、おもひの外か武勇無調法の者あり。
又何事も無案内にて、人のゆるしたるうつけ者に、武道に於いては剛強の働する者あり。
たとひ片輪なる者なりとも、用ひ様にて重宝に成る事多ければ、一人も捨りたる者あるまじきなり。
その者の役に立つ所をば遣ひ、役に立たざる所をば遣わずして、何れをも用に立て候を能き大将と申すなり。
此の者は一向の役に立ざるうつけ者よと見限りはて候事は、大将の心には浅ましき狭き心なり。
一国をも持ちたる大将の下には、善人も悪人も何程かあらん。
うつけ者とても罪科の無き内には、刑罰を加へ難し。
侍中に我身は大将の御見限りなされ候と存じ候へば、勇みの心なく、誠のうつけ者となりて役に立ず。
大将は如何なる人をも不便に思し召しぞと、諸人に普ねく知らせ度事なり。
皆々役に立たんも、又た立つまじきも大将の心にあり。
上代とても賢人は稀なるものなれば、末世には猶ほ以てあるまじきものなり。
大将にも充分の人はなければ、見誤り何程かあらん。
たとへば能く一番興行するに、太夫に笛を吹かせ鼓打に舞はせては見物成り難く、太夫に舞はせ、笛鼓それぞれに申付け候は、其人をもかへず、同じ役者にて能く一番成就す。
国持大将の侍召遣ふ事、亦た斯くの如くに候。
罪科の有る輩者は格別、小身衆には少し用捨あるべき事か。

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