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酔古堂剣掃-醒部[20]

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原文

好醜心太明。則物不契。賢愚心太明。則人不親。須是内精明。而外渾厚。使好醜兩得其平。賢愚共受其益。纔是生成的徳量。

書き下し文

好醜こうしゅうの心、はなはだ明なれば、則ち物、けいせず。
賢愚の心、はなはだ明なれば、則ち人、親しまず。
須らく是れ内、精明にして、外、渾厚こんこうなるべし。
好醜ふたつながら其のへいを得、賢愚共に其の益を受けしめば、わづかに是れ生成的徳量なり。

現代語訳・抄訳

好みにくむ心が甚だ明らかなれば、物情を介せずして合うことなく、賢を崇敬し愚を軽侮するの心が甚だ明らかなれば、人情を介せずして親しまず。
故に何事においても内は精明にして、外は兼ね容れるべし。
さすれば好醜こうしゅういずれもその平を得て、賢愚共にその益を受く。
そうであって初めて天地に通ずる徳といえるのである。

出典・参考・引用
塚本哲三編「酔古堂劒掃・菜根譚」19/315
関連タグ
酔古堂剣掃
陸紹珩
古典
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備考・解説

呂蒙正曰く、
大度を以て兼ね容るときは、万事兼済す。
曹参が獄市をみださざるものは、その善悪を兼ね受くるを以てなり、と。

語句解説

渾厚(こんこう)
大きく深みのあること。力があり重厚なこと。
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