酔古堂剣掃-醒部[16]
原文
怨因徳彰。故使人徳我。不若徳怨此兩忘。仇因恩立。故使人知恩。不若恩仇之倶泯。
書き下し文
怨みは徳に因りて
故に人をして我を徳とせしむるは、
仇は恩に因りて立つ。
故に人をして恩を知らしむるは、
現代語訳・抄訳
怨みは徳を徳とするが故に生ず。
故に人に自然と徳を感じさせるには、徳と怨の両方を忘れてしまうに勝るものはない。
仇は恩を恩とするが故に立つ。
故に人に自然と恩を感じさせるには、恩と仇の両方を無くしてしまうに勝るものはない。
- 出典・参考・引用
- 塚本哲三編「酔古堂劒掃・菜根譚」18/315
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備考・解説
徳を徳とするは徳ならず、恩を恩とするは恩ならず。
自然にして化し、人知らずして知らぬままに恩恵を受く、これ聖人の行なり。
堯の治世に民曰く、
帝力なんのことかあらん、と。
これぞ貴の至りと謂うべし。
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