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陸紹珩

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酔古堂剣掃-法部[1]

方袍ほうぼう幅巾ふくきんの態、天下に徧満へんまんせしよりして、超脱穎絶えいぜつの士、遂に同汚どうお合流を以て之をめ、而して世道せどうすでならず。
夫れ迂腐うふの者は、既に法になづみ、而して超脱の者は、又た法に放越ほうえつす。
然らば士君子、亦た偏せずせず、放越する所無きを期してまん。
人、何ぞ必ずしも方袍ほうぼう幅巾ふくきんにして此の迂態うたいさんや。
法第十一を集む。

現代語訳・抄訳

僧侶や隠者の如き姿が天下に満ちてより、一世を超越し衆に優れし者、遂に世俗と調子を合わせ基準を同じくしてこれを矯正す、故に今世の道はすでに古の道と同じからず。
迂遠で陳腐なる者は、既に法に拘泥して自己を失い、一世を超越せし者は、また法を軽んじて自己あるのみ。
されば士君子たるもの、拘泥することなく軽んずることなく、そのちゅうを得て放越せざるを期せんのみ。
どうして必ずしも世俗より逃れるを望まんや。
法第十一を集む。

出典・参考・引用
塚本哲三編「酔古堂劒掃・菜根譚」202/315
関連タグ
酔古堂剣掃
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古典
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語句解説

方袍(ほうぼう)
僧侶の衣服。袈裟。方形の袍であることから。
幅巾(ふくきん)
隠者などが被る、頭を包む布。髪を束ね整える男子の頭巾。
穎絶(えいぜつ)
才覚が抜きん出ていること。
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