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酔古堂剣掃-醒部[1]

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原文

食中山酒。一醉千日。今世昏昏逐逐。無一日不醉。無一人不醉。趨名者。醉於朝。趨利者。醉於野。豪者醉於聲色車馬。而天下竟為昏迷不醒之天下矣。安得一服清涼。人人解醒。集醒第一。

書き下し文

中山ちゅうざんの酒をくらひて、一酔いっすい千日、今世こんせい昏昏こんこん逐逐ちくちく、一日として酔はざるは無く、一人として酔はざるは無し。
名にはしる者はちょうに酔ひ、利に趨る者はに酔ひ、豪者ごうしゃ声色せいしょく車馬しゃばに酔ひ、而して天下つひに昏迷不醒ふせいの天下と為る。
いづくにか一服の清涼を得て、人々ていを解かん。
せい第一をあつむ。

現代語訳・抄訳

中山の酒を飲みて一酔すれば千日を経る、今の世の昏々として定まらざること、一日も酔わぬこと無きが如く、誰一人として酔わざる者の無きが如し。
栄達に奔る者は朝廷に酔い、利欲に奔る者は民間に酔い、富豪の者は女色、音楽、車馬に酔い、天下は終に昏迷して醒めること無きが如し。
ここに一服の清涼を得て、人々の眼を醒まさん。
せい第一を集む。

出典・参考・引用
塚本哲三編「酔古堂劒掃・菜根譚」16/315
関連タグ
酔古堂剣掃
陸紹珩
古典
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備考・解説

中山の酒は捜神記そうじんきの一節で千日酒で有名。
酒造りの名人であった狄希てききが中山の人であることによる。
概略は以下の通り。
狄希てききはよく千日酒を造り、これを飲めば千日酔うという。
その酒を劉玄石という人が買い、家に帰って飲むと大に酔い、まるで死んだようになった。
そこで家人が勘違いして葬ってしまった。
三年経ち、千日満ちるによって酒屋が来て棺桶を開くと始めて醒めたという。

語句解説

昏昏(こんこん)
道理にくらい様。心がはっきりしていない様。昏くして明らかならざる様。
逐逐(ちくちく)
どこまでも物事を追求する様。わずらわしい様。
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