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孟子

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孟子-離婁上[18]

公孫丑こうそんちゅう曰く、
君子の子を教へざるは、何ぞや、と。
孟子曰く、
勢ひ行はれざればなり。
教ふる者は必ず正を以てす。
正を以てして行はれざれば、之を継ぐに怒を以てす。
之を継ぐに怒を以てすれば則ち、反ってそこなう。
夫子ふうし我に教ふるに正を以てす、夫子未だ正に出でざるなりと。
則ち是れ父子相ひそこなふなり。
父子相ひ夷ふは、則ちし。
いにしへは子をへて之を教ふ。
父子の間は善を責めず、善を責むれば則ち離る、離るれば則ち不詳れより大なるは莫し、と。

現代語訳・抄訳

公孫丑こうそんちゅうが問うて言った。
君子は自らの子を教えないといいますが、何故でしょうか、と。
孟子が言った。
自然の道理として行なうことができないからである。
教える者は必ず正を以てこれを導こうとする。
正を以てして行なわれざれば、何故行なわぬのかと怒りになる。
怒りを発してしまえば、却って父子の関係を害うことになる。
父上は正しき道を以て我に教えているが、父上自身もまた、必ずしも正に帰しているわけではないではないかと。
これは父子の関係を害うものである。
父子の関係を害うほど悪しきことはない。
故に古の人は互いに子をゆだね合って教え諭したのである。
父子の間は決して善を以て責めてはいけない。
善を責めれば必ず離れることになってしまう。
父子の間が離れてしまうことは最も不幸なことなのである、と。

出典・参考・引用
簡野道明著「孟子通解」251-252/552
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古典
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備考・解説

父子の間は善を責めずとは、導くに善を以てせざるには非ず。
その必ず従ふを責むれば、和を傷すを恐るるなり。

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