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熊沢蕃山
孝経小解-士[2]
親に事ふるの孝、君に事へて忠となる。
兄に事ふるの敬、長に事へて順となる。
二心なく二道なし、忠臣は孝子の門に出づると云ふ、是れなり。
故に忠臣ならざるは孝子にあらず。
若し、利禄のために、外、忠順をなすは忠順にあらず、失ひたるなり。
君子、小人、形同じうして心異なり、貴賤、男女、君子、小人共に五達道によらずといふ事なし。
故に無事のとき、外より見たる所は、さのみかはらず、年寒して松柏を知り、国みだれて忠臣を知るといへり。
変にあはざれば、孝子、忠臣ともに知りがたし。
然れども天地、鬼神はあざむかれず、孝悌の誠を失はずして国につかへ、忠順なる時は、其の爵禄を保ちて、其の父母先祖の祭りを絶やさざるは士の孝なり。
- 出典・参考・引用
- 中江藤樹訳、熊沢蕃山(伯継)述「孝経」21-22/88
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備考・解説
馬融云ふ、
忠は中なり、至公にして私なし。
其の心を一にするの謂ひなり。
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