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熊沢蕃山

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孝経小解-卿大夫[1]

法服は、禮義備れる服なり。
禮義備はる時は、易簡いかんにして賤しからず、質素にして費え少なき者なり。
衣服は人身の文章にして、禮義のあらわるる所なり。
人道の美なり。
是れ、先王の法服の名残なり。
世間の時行はやりもの、ならひもてゆけば、禮義粗暴になりて、風俗いやしく、却って過美になるものなり。
過美なれば数多くなりて易簡いかんならず、次第に士庶ししょ、貧乏するものなり。
斯くの如き人情を知りて、卿大夫の家に古法を守りて、時の費えにうつらず。
卿大夫は、万事古風に公道なるを教え、民を安んずる事を職分とする家なればなり。
しかればとて、時にあはざる事を、かたくなに守るには非ず。
世の中、五十年に小変し、五百年に大変す。
されば、昔の事、全く用ひられざるものなり。
古を守りてき事あり、よからざる事あり、衣服をあげて、文武の道具、屋作やつくり、家財等を其の中にふくみたるなり。
詳しき事は或問わくもんに見えたり。

出典・参考・引用
中江藤樹訳、熊沢蕃山(伯継)述「孝経」18-19/88
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古典
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備考・解説

黄石斎曰く、
服は言行の先ず見はるるものなり。
未だ其の言を聴かず、未だ其の行を察せず、其の服を見て而して其の志を知るべし。

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