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孝経[諸侯]

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原文

居上不驕。高而不危。制節謹度。満而不溢。高而不危。所以長守貴也。満而不溢。所以長守富也。富貴不離其身。然後能保其社稷。而和其民人。蓋諸侯之孝也。詩云。戦戦兢兢。如臨深淵。如履薄氷。

書き下し文

上に在て驕らざれば、高くして危からず。
節を制しつつしめば、満ちてふれず。
高くして危からざるは、長く貴きを守る所以なり。
満ちて溢れざるは、長く富を守る所以なり。
富貴其の身を離れず、然る後にく其の社稷しゃしょくを保ち、而して其の民人みんじんを和す、蓋し諸侯の孝なり。
詩に云ふ、
戦戦兢兢、深き淵に臨むが如く、薄氷をむが如し、と。

現代語訳・抄訳

上の位に在りて驕ることが無ければ、如何なる高位に在ろうとも危いことは無く、礼節を持して仁政を施せば、如何に満ちようとも溢れることは無い。
高位にして危き無きは、長く貴きを守る所以であり、満ちて溢れざるは、長く富を守る所以である。
人君が謙徳によりて貴きを守り、仁政によりて富を守らば、国家安泰にして人民安んず。
これを諸侯の孝という。
故に詩経の小旻篇にはこのように詠われている。
戦戦兢兢として深き淵に臨むが如く、薄氷を踏むが如し、と。

出典・参考・引用
中江藤樹訳、熊沢蕃山(伯継)述「孝経」15-18/88
関連タグ
孝経
曾子
古典
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備考・解説

富貴其の身を離れざるは、大学に謂う所の「仁者は財を以て身を発し、不仁者は身を以て財を発す」に近い。
大なる己にして富貴に由れば、その為すところ及ばざるなし。
富貴は発するところに非ず、己に蔵して己自身を発すべし。

語句解説

社稷(しゃしょく)
土地の神と五穀の神のことで国の重要な祭祀のこと。また、国家の意にも用いる。
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