1. 熊沢蕃山 >
  2. 孝経小解 >
  3. 天子 >
  4. 1
  5. 2
  6. 3
  7. 4

熊沢蕃山

このエントリーをはてなブックマークに追加

孝経小解-天子[3]

大君は、天下第一の位にいまして高ければ徳、不徳、善、不善、かくれなし。
徳あれば、自然と感じて教へと成るものなり。
其の上に、政教、法式、時の中にかなへば、天下の風になびくが如し。
百姓は百民なり、中国の民なり。
昔は日本も農兵にて、士、民間にあり。
今の国主、郡主まで昔の百姓なり、故に在名ざいみょうあり、徳教、百官、士庶人に及ぶなり。
四海は、東西南北の、禮義にうとき国なり。
各々ならはせる風俗有り、しひて教へずと雖も、徳澤に潤はずと云ふ事なし。
風をのみ尊信そんしんししたへば令せざれども自然に化するをのりとすと云ふなり。
船車せんしゃのいたる所、人力の通ずる所、天の覆ふ所、地の載る所、日月じつげつの照らす所、霜露そうろの堕つる所、凡そ血気ある者は、尊信せずと云ふ事なし。
之を、徳教を百姓に加へ四海に刑る、と云ふなり。
天子の孝の至りなり。

出典・参考・引用
中江藤樹訳、熊沢蕃山(伯継)述「孝経」14/88
関連タグ
孝経小解
熊沢蕃山
古典
<<  前のページ  |   ランダム   |  次のページ  >>

語句解説

在名(ざいみょう)
ざいめい。在郷の名。住所の地名をとって付けた氏。
<<  前のページ  |   ランダム   |  次のページ  >>

関連リンク

徳は原字の直+心に行動を表す「彳」と書かれる。字から読み取ると、…
「易」と共に東洋哲学の最も深い根本概念。自然と育ててゆく力。そう…
狭義では空の上の天上。思想としては世界を統べる法則そのもの。不変…
孝とは父母を敬愛し子としての道を尽すこと。ただし、父母に順じるこ…


Page Top