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熊沢蕃山
孝経小解-天子[3]
大君は、天下第一の位に在して高ければ徳、不徳、善、不善、かくれなし。
徳あれば、自然と感じて教へと成るものなり。
其の上に、政教、法式、時の中にかなへば、天下の風になびくが如し。
百姓は百民なり、中国の民なり。
昔は日本も農兵にて、士、民間にあり。
今の国主、郡主まで昔の百姓なり、故に在名あり、徳教、百官、士庶人に及ぶなり。
四海は、東西南北の、禮義にうとき国なり。
各々ならはせる風俗有り、しひて教へずと雖も、徳澤に潤はずと云ふ事なし。
風をのみ尊信ししたへば令せざれども自然に化するを刑とすと云ふなり。
船車のいたる所、人力の通ずる所、天の覆ふ所、地の載る所、日月の照らす所、霜露の堕つる所、凡そ血気ある者は、尊信せずと云ふ事なし。
之を、徳教を百姓に加へ四海に刑る、と云ふなり。
天子の孝の至りなり。
- 出典・参考・引用
- 中江藤樹訳、熊沢蕃山(伯継)述「孝経」14/88
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語句解説
- 在名(ざいみょう)
- ざいめい。在郷の名。住所の地名をとって付けた氏。
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