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孔子
書経-周書[呂刑][10]
王曰く、
嗚呼、嗣孫、今より往ち何をか監みん。
徳の民の中におけるに非ずや。
尚くば明らかに之を聴け。
哲人惟れ刑す、無疆の辞、五極に属り、咸く中にして慶び有り。
王の嘉師を受く、茲の祥刑を監みよ、と。
現代語訳・抄訳
穆王が言った。
ああ、我が子孫たちよ、その世々に何を以て則とするか。
則とすべきは、徳を以て民に中正なるを得るに非ずや。
願わくば心を清明にしてこれを聴け。
古の賢哲が刑罰を典るに、いかなる訴えも五刑に則りてこれを処し、必ず中正を得て人心に適い、故に人々の嘉するところとなった。
この善良なる天下万民を受け継ぐからには、この祥刑を鑑みねばならぬ、と。
- 出典・参考・引用
- 林英吉著「五経講義」書経之部148/158,山井幹六述「尚書」319/348
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備考・解説
ネット上の文献では「非徳、于民之中、尚明聴之哉」と非徳で区切る形があるが、本項では参考書籍に則り「非徳于民之中、尚明聴之哉」で解した。
語句解説
- 無疆(むきょう)
- 無窮。疆(かぎ)り無し。疆は田境、あぜを意味する語。
- 嘉師(かし)
- 善良なる民。嘉は善、師は衆。
- 祥刑(しょうけい)
- 祥は吉祥。福、善とある。また、注釈には「祥の言たる詳なり。天、禍福を以て降す際には詳審に告げ悟すなり」とある。
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