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孔子

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書経-周書[呂刑][9]

王曰く、
嗚呼、之をつつし
官伯族姓かんぱくぞくせい、朕が言おそれ多し。
朕、刑をつつしみ、徳有りてれ刑す。
今、天は民をたすけ、配して下に在ることをす。
単辞たんじを明清にせよ、民のおさまる、獄の両辞を聴くにあたらざるし、獄の両辞に私家しけすることる無かれ。
獄の貨は宝に非ず、辜功ここうあつむ、報ゆるに庶尤しょゆうを以てす。
永く畏れてれ罰せよ、天のあたらざるに非ず、れ人命に在り。
天罰極まらず、庶民に令政れいせいの天下に在る有ることし、と。

現代語訳・抄訳

穆王が言った。
ああ、刑罰の事は畏れつつしむのだ。
典獄の官、四方の諸侯、同族諸子、異姓の諸氏よ、我が述べし言葉を肝に銘ぜよ。
我、刑をつつしみ、徳によりて刑を施す。
いま、天は民に刑を憚る心を抱かせて治世の助けとし、吾等をして刑罰をつかさどらせている。
吾等は訴えに耳を傾け、明清にしてその情を察せねばならぬ。
必ず両者に言葉を尽くさせ、その情を察するに至らば、民の治まらざるは無し。
訴えを聴くには、私せずして中正なるを第一とせねばならぬ。
賄賂で刑罰を私し、それで財を成そうとも、それは宝などではない、自ら望んで罪状を集めているようなものである。
必ずや万民の怨嗟によって報いを受けるであろう。
常に畏れ敬う心を忘れずに刑罰を行なうのだ。
すべては天に由るのではない、人が自ら為して罪を得て、そしてこれを刑するのである。
天罰極まらずして刑の生じるは、庶民に善政を施さずして天下を治めんとするが故であろう、と。

出典・参考・引用
林英吉著「五経講義」書経之部147/158,山井幹六述「尚書」319/348
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孔子
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備考・解説

極まるところは静にして安んずるところ、つまりは中正である。
中正ならざるは、善政に非ず。
善政に非ざれば、民、手足を置くところ無し。

語句解説

単辞(たんじ)
一方的な申し立て。証拠のない主張。かたよった見解。
辜功(ここう)
罪状のこと。
庶尤(しょゆう)
衆人の怨み。衆怨。
令政(れいせい)
善政。
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