1. 熊沢蕃山 >
  2. 孝経小解 >
  3. 開宗明義 >
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  11. 11
  12. 12
  13. 13
  14. 14
  15. 15

熊沢蕃山

このエントリーをはてなブックマークに追加

孝経小解-開宗明義[14]

道器合一、三才一貫の身なり。
故に此の立身は明徳を明らかにするなり。
終は畢竟ひっきょう、帰宿の義なり。
五倫の交はり、皆な明明徳の受用なり。
日用、常行、六芸の遊びに至るまで、明明徳の功に非ずと云ふ事なし。
徳を成すことは善を行なふにしくはなし。
鶏鳴きて、起きて、孳々ししとして善をするものは、舜の徒なりと。
善は、五倫の交はりに道あるを大なりとす。
父子親あり、君臣義あり、男女別あり、長幼序あり、朋友信あり、是れを五典と云ふ。
わかちていへば、父は慈に、子は孝、君は仁に、臣は忠、夫は和儀に、婦は貞順、兄は愛、弟はてい、朋友たがひに信あり、是れを十義と云ふ。
孝の條理なり。
同じく五典、十義を行へども、心、外に向ふ時は、明明徳の功とならず。
真の善にあらず。
心、内に向ふ時は、五典、十義は云ふに及ばず、六芸の遊びに至るまで、明明徳の功と成りて善行なり。
たとへば、路次にて朋友に逢ひて、彼は歩行、我は馬なれば、下馬す、むづかしながら下馬すると思ふは、外に向ひたる心なり、徳を積むの善行ならず。
人道は禮あるを以て尊し、禮を行ふは善行なれば、善をするを楽しみて下馬する時は、積徳の功と成るなり。
日々に事々にかくの如き心を用ひる時は、徳つもりて名を成すものなり。
他はおして知るべし。
身を立つるに終はるのかぎりなき善行は、受用の人、知るべし。

出典・参考・引用
中江藤樹訳、熊沢蕃山(伯継)述「孝経」12/88
関連タグ
孝経小解
熊沢蕃山
古典
<<  前のページ  |   ランダム   |  次のページ  >>

関連リンク

徳は原字の直+心に行動を表す「彳」と書かれる。字から読み取ると、…
伝説上の人物で五帝の一人。儒家によって堯と共に聖人として称えられ…
孝とは父母を敬愛し子としての道を尽すこと。ただし、父母に順じるこ…



Page Top