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熊沢蕃山

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孝経小解-開宗明義[7]

人の心に天より得たる孝徳有ること、穀の種に生意をふくめるが如し。
故に教えによりて其の固有の善心を開き生ず。
是れを鼓し、是れをして生ずる所なり。
造化の鼓舞、教の鼓舞、同じ種を地に蒔く事、人に天より得たるが如し。
種は、地気是れを含養し雨露うろ是れを潤し、風雷是れを鼓し、日月じつげつ是れを覆育ふくいくし、是れを生じ、是れを長じ、是れを実らしむ。
物の春生ずるは、幼にして学ぶが如し、夏長ずるは、壮にして行くが如し、秋実るは、老いて教ふるが如し。
先王、人の善心を生じ、長じて和睦せしめ給へり。
徳教法式は、是れを鼓し是れを舞するの備へなり。
徳は先王、民の父母たる慈仁じじんの厚き心なり。
是れ天の生理の、先王の心に有る孝徳なり。
教は大学校、小学校、礼楽弓馬書数の六芸りくげいなり。
法は今の法度はっとの如し。
式は礼式なり。
法は背く者には刑罰あり、式は背くも罰なし、礼を知らざるを恥とするのみ。
故に法は数少なきをよしとす。
多ければ人苦しみて、邪偽じゃぎ生ず。
まつりごとは人の心をすぐにするよりきはなし。
然るに法度によりて、人心邪偽になるは、本をうしなへるなり。
式は詳しきをよしとす、詳しければ、上下貴賎安んじて無事なり。
詳らかなる事は外伝或問に論ず。

出典・参考・引用
中江藤樹訳、熊沢蕃山(伯継)述「孝経」9/88
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