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熊沢蕃山

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孝経小解-開宗明義[2]

徳は得なり、天に得て心に主たる者なり。
人々固有の善なり、此の固有の徳を先づ明らかにして、衆に先達さきだつ人を、賢者とも先覚とも云ふなり。
純粋は至善、天と同體にして名付け云ひ難きを至徳と云ふなり。
道は人の共に由るところなり、一を以て衆を統ぶるを要と云ふ、或ひは知りて行ひ、或ひは知らずして由る天下の大道なり。
徳は未発の善なり、道は己発きはつにあらざれば、天下とも由ること能はず、未発にあらざれば心の根たること能はず、溥博淵泉ふはくえんせんにして時に出だすこと能はず、故に未発の善を至善と云ふなり。

出典・参考・引用
中江藤樹訳、熊沢蕃山(伯継)述「孝経」7/88
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備考・解説

王陽明曰く、
蓋し良知は、唯だ是れ一個の天理自然に明覚発見する処、只だ是れ一個の真誠惻怛そくだつ便ち是れ本體、故に是の良知の真誠惻怛を致して、以て親に事ふるは、便ち是れ孝なり。
大塩中斎曰く、
至徳と要道とは二あるに非ざるなり。
皆な其の本を推し、本また天に生ず、不学不慮の良知良能にあらずして何ぞ。
而して良知に致せば則ち良能其の中にあり。

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