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孔子

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詩経-大雅[文王之什][文王.4]

穆穆ぼくぼくたる文王、ああ緝熙しゅうき敬止す。
おほひなるかな天命、商の孫子をたもつ。
商の孫子、其のかずおくのみならず。
上帝既に命じ、れ周に服せしむ。
れ周に服する、天命常し。
殷士の膚敏ふびんなるも、京に祼将かんしょうす。
祼将かんしょうす、常に黼冔ほくを服す。
王の藎臣じんしんなんじの祖をおもふ無からんや。
なんじの祖をおもふ無からんや、の徳をべ修む。
永くれ命に配し、自ら多福を求む。
殷の未だ師をそうせざる、く上帝に配す。
宜しく殷にかんがみるべし、駿命しゅんめい易からず。
命の易からざる、なんじとどまらしむること無かれ。
義問を宣昭し、た殷の天にしたがふをかれ。
上天のことは、こえ無くしゅう無し。
文王に儀刑し、萬邦ばんぽうまことさん。

現代語訳・抄訳

文王の徳は天徳に合し、遍く広がりて至善に止する。
大なるかな天命、その徳に由りて殷の子孫を帰せしむる。
殷の子孫、その数、億を下らず。
上帝既に命じ、これを周に服せしむる。
これ周に服する、天命常無く帰する所以は存心天徳たり。
殷士に明敏有りて、周都に来たりて清祭を助く。
明敏なる殷士、清祭を助く、常に殷の礼服を着して戒めを示す。
王に服する忠誠の臣、その祖を想いて忠孝を報ずべし。
その祖を想いて忠孝を報じ、その徳を尽くして天徳に合す。
悖らざれば天命に適い、自ら多福を求むべし。
殷、その祖を想いて悖らざる間、道に従いて上帝に通ず。
宜しく殷に鑑みるべし、天命厳粛なりて易からざるを。
天命厳粛にして易からざる、汝の身のみに留むるなかれ。
令名を宣昭し、殷の帰趨、天理にしたがいたるを思うべし。
上天のことは、声無く臭無くして人意にては計り難し。
然れども文王の徳は天意に適う、これに則るは天意たり、遂には天下国家に誠を生ぜん。

出典・参考・引用
根本通明著「詩経講義」85-88/237,林英吉著「五経講義・詩経・書経之部」第一冊183-185/268
関連タグ
詩経
孔子
古典
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語句解説

穆穆(ぼくぼく)
奥ゆかしく立派な様。目立って何かをするわけではないが、威容ありて存在していること。
緝熙(しゅうき)
ひかりかがやく。徳が広く知れ渡ることの例え。
膚敏(ふびん)
優美にして敏捷なること。膚は美の意。時機を見るにすばやい。
祼将(かんしょう)
きよめの祭りをすること。祼(かん)は清めの酒をそそいではらう意。
黼冔(ほく)
殷の時代の装束。黼は白と黒の礼服、冔は殷の冠。
藎臣(じんしん)
進んで忠をいたすもの。忠誠の臣。
駿命(しゅんめい)
天の大命。気高き天命。
義問(ぎもん)
良い評判。令名。
儀刑(ぎけい)
模範とする。則とする。
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