戴聖
礼記-檀弓下[159]
晏子は一
曾子曰く、
国に道無くば、君子は禮を
国、
現代語訳・抄訳
曾子が言った。
晏子は礼を知ると言うべきであろう。
恭敬を持している、と。
有若が言った。
晏子は一狐裘三十年、
主君は部位七つを一組として計七組なるが故に
晏子がどうして礼を知ると言えようか、と。
曾子が言った。
国に道無くば、君子は礼を満たすを恥じるという。
国が奢侈なれば、人々に示すに倹約を以てし、国が倹約なれば、人々に示すに礼を以てするのである、と。
- 出典・参考・引用
- 早稲田大学編輯部編「漢籍国字解全書」第26巻152-153/330
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備考・解説
一狐裘三十年は己に倹。
遣車一乗は親に倹(七乗、五乗の決まりがあるらしい)。
墓に着きて埋葬するや直に帰るは人に倹(本来は来賓に対する礼があるらしい)。
己に対して倹なるは美徳なれども、親や他人に倹約に過ぎるは礼を失している、と有若は述べる。
対して曾子は、国が奢侈に陥っている時に倹を示すは礼に適うと述べた。
語句解説
- 曾子(そうし)
- 曾子。曾参。春秋時代の思想家。字は子輿。孔子の弟子。孝行で知られ、「孝経」を著したとされる。
- 晏嬰(あんえい)
- 晏嬰。春秋時代の政治家。斉三代に仕える。景公の代には宰相となって黄金期を創出。私心なき晏子の姿を敬慕した司馬遷は史記の中で「御者となってでも仕えたい」と讃している。
- 有若(ゆうじゃく)
- 有若。春秋時代の魯の人。字は子有。孔子の門弟で容貌が孔子に似ていたとされる。孔子家語弟子解篇には強識にして古道を好むと記されている。
- 狐裘(こきゅう)
- 狐のわきの下の白毛皮でつくった皮衣。貴重品として珍重された。
- 遣車(けんしゃ)
- 葬送の際にいけにえを乗せる車。
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