1. 戴聖 >
  2. 礼記 >
  3. 檀弓下 >
  4. 155
  5. 156
  6. 159

戴聖

このエントリーをはてなブックマークに追加

礼記-檀弓下[159]

曾子そうし曰く、
晏子あんしは禮を知ると謂ふべき也已のみ、恭敬之れ有り、と。
有若ゆうじゃく曰く、
晏子は一狐裘こきゅう三十年、遣車けんしゃ一乗、墓に及びてかへる。
国君こくくんは七遣車けんしゃ七乗、大夫は五遣車けんしゃ五乗、晏子、いづくんぞ禮を知らん、と。
曾子曰く、
国に道無くば、君子は禮をみたすを恥ず。
国、しゃなれば、則ち之れに示すに倹を以てし、国、倹なれば、則ち之れに示すに禮を以てす、と。

現代語訳・抄訳

曾子が言った。
晏子は礼を知ると言うべきであろう。
恭敬を持している、と。
有若が言った。
晏子は一狐裘三十年、遣車けんしゃは一乗のみにして、墓に着きて埋葬するや直に帰ったという。
主君は部位七つを一組として計七組なるが故に遣車けんしゃ七乗を要し、大夫は部位五つを一組として計五組なるが故に遣車けんしゃは五乗を要す。
晏子がどうして礼を知ると言えようか、と。
曾子が言った。
国に道無くば、君子は礼を満たすを恥じるという。
国が奢侈なれば、人々に示すに倹約を以てし、国が倹約なれば、人々に示すに礼を以てするのである、と。

出典・参考・引用
早稲田大学編輯部編「漢籍国字解全書」第26巻152-153/330
関連タグ
礼記
戴聖
古典
<<  前のページ  |   ランダム   |  次のページ  >>

備考・解説

一狐裘三十年は己に倹。
遣車一乗は親に倹(七乗、五乗の決まりがあるらしい)。
墓に着きて埋葬するや直に帰るは人に倹(本来は来賓に対する礼があるらしい)。
己に対して倹なるは美徳なれども、親や他人に倹約に過ぎるは礼を失している、と有若は述べる。
対して曾子は、国が奢侈に陥っている時に倹を示すは礼に適うと述べた。

語句解説

曾子(そうし)
曾子。曾参。春秋時代の思想家。字は子輿。孔子の弟子。孝行で知られ、「孝経」を著したとされる。
晏嬰(あんえい)
晏嬰。春秋時代の政治家。斉三代に仕える。景公の代には宰相となって黄金期を創出。私心なき晏子の姿を敬慕した司馬遷は史記の中で「御者となってでも仕えたい」と讃している。
有若(ゆうじゃく)
有若。春秋時代の魯の人。字は子有。孔子の門弟で容貌が孔子に似ていたとされる。孔子家語弟子解篇には強識にして古道を好むと記されている。
狐裘(こきゅう)
狐のわきの下の白毛皮でつくった皮衣。貴重品として珍重された。
遣車(けんしゃ)
葬送の際にいけにえを乗せる車。
<<  前のページ  |   ランダム   |  次のページ  >>

関連リンク

曾子
中国の春秋時代の思想家。紀元前505-435年。曾子は尊称で本名は曾参…
敬とは進歩向上の心であり、より高きもの、大いなるもの、偉大なるも…
礼。節操。分限。人の根幹であり、自らの心より発する自発的規範。部…
君子
君子とは小人の対義語としては、私心がなく公である人物のことをいう…


Page Top