戴聖
礼記-檀弓下[156]
旧君の為に
子思曰く、
古の君子は、人を進むるに禮を以てし、人を退くるに禮を以てす、故に旧君に反りて服するの禮有り。
今の君子は、人を進むるに将に
又た何ぞ反りて服するの禮や之れ有らん、と。
現代語訳・抄訳
魯の穆公が子思に問うて言った。
旧主のために喪に服するは古よりの礼であろうか、と。
子思が言った。
古の君子は、人を進めるに礼を以てし、人を退けるにも礼を以て接しました。
故に去って後にも旧主のために喪に服するの礼があったのです。
然るに今の君子は、人を進めるには己の膝上に置くが如くに丁重に扱いますが、人を退けるにはまるで淵に落とすが如くに冷酷です。
斯様に礼節を欠いて接すれば兵を率いて攻め来らざるだけでも善しとするべきであって、どうして旧主のために喪に服するの礼などが有り得ましょうか、と。
- 出典・参考・引用
- 早稲田大学編輯部編「漢籍国字解全書」第26巻151/330
<< 前のページ | ランダム | 次のページ >> | |