戴聖
礼記-檀弓下[155]
孔子謂ふ、
哀しい
其の明器と
孔子、
人を用ふるに
現代語訳・抄訳
孔子はこのように言っている。
明器を作りし者は、喪の道を知る者である。
器物を備えて死者と共に葬るも、形を存するのみにして実用に耐えざるを供す、と。
然るになんと哀しきことか、死者と共に生者の器を葬るとは。
生者を以て殉葬するに近からんか。
その明器というは、これ神明である。
泥の車や草の人形は古代よりこれ有り、いずれも形をかたどるに過ぎざるが故に、これを明器の道という。
孔子は
木や土の人形は面目有り、節目有りて人に近し。
生者を従葬するに近からんか。
- 出典・参考・引用
- 早稲田大学編輯部編「漢籍国字解全書」第26巻151/330
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語句解説
- 明器(めいき)
- 死者と共に墓に埋める土製・陶製の副葬品。送葬の器。死者が生前に用いた物の模造品を用いる。
- 生者の器(せいじゃのき)
- 一に祭器、二に残った者達が日常に用いている器物、三に死者が生前に用いていた器物。いずれを指すのかは分からないが、どれも実用に供するに異ならず。
- 乎哉(こさい)
- 感嘆、かな。疑問、か。反語、や。希望、や。
- 神明(しんめい)
- 神。精神。
- 塗車(どしゃ)
- 泥で作った車。墓中に入れる。
- 芻霊(すうれい)
- 草をたばねて作った人形。死者と共に葬り、殉死者のかわりとした。
- 俑(よう)
- 墓中に入れる木や土で人の形を象った人形のこと。土偶、木偶。
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