孔子
書経-商書[湯誓][1-2]
王曰く、
今
今、汝じ其れ曰く、夏の罪、其れ
夏王率ひて衆力を
有衆率ひて怠り、
夏の徳
現代語訳・抄訳
湯王が誓って言った。
来たれ諸衆よ、汝ら衆庶、尽く我が言葉を聴け。
我が決起は私心に非ず。
夏は乱逆無道にして罪多し、これを誅するは天命である。
今、人々は相語っていう、我が君は人民を安んぜず、農事を捨てて夏の天下を乱すと。
我、人々の憂えを聞き、夏の罪有るを知る。
天命畏るべし、罪有るを知らば正さねばならぬ。
今、人々は夏の罪をどうすればよいのかと嘆息している。
夏王は甚だしき苦役によりて民力を損ない、甚だしき重税によりて邑里を荒廃させた。
人々はその無道に辟易し、従はんことよりは死を待つことを望みて曰く、我が君は何時亡ぶのであろうか、我、共に亡ぶことになろうとも悔いはないと。
夏の徳はかくの如き様である、故に我は立たねばならない。
諸衆よ、いまこそ我と心を一にして共に往き、天命に従いて夏桀に罰を下すのだ。
さすれば我は汝らに大いに賜うであろう。
諸衆よ、我が言葉を信ぜざることなかれ、我は虚言せず。
汝ら、我が誓言に従うことなくば、我、汝に重刑を致し、赦すところ有る無からん、と。
- 出典・参考・引用
- 林英吉著「五経講義」書経之部36/158,山井幹六述「尚書」97-99/348
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語句解説
- 湯王(とうおう)
- 湯王。天乙。成湯。殷王朝の始祖。賢臣伊尹を擁して夏の桀を倒した。後世に聖王として称賛される。
- 小子(しょうし)
- 自らを謙遜していう。
- 有夏(ゆうか)
- 夏后氏禹(夏の始祖)。また、夏王朝のこと。有は助辞である。なお、中国本土の意に用いる場合もある。
- 有衆(ゆうしゅう)
- 人民。
- 穡事(しょくじ)
- 農事、農業。
- 割正(かっせい)
- 割政。虐政。人民を虐げて苦しめる政治を行うこと。むごい政治。
- 如台(いかん)
- 注に史記に奈何と書けり、とある。
- 孥戮(どりく)
- 罪によって妻子をも罰すること。
- 桀(けつ)
- 桀。夏の十七代目の王。暴君の代表。殷の湯王によって滅ぼされた。
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