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孟子

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孟子-尽心下[15]

孟子曰く、
聖人は、百世の師なり、伯夷はくい柳下恵りゅうかけいは是なり。
故に伯夷の風を聞く者は、頑夫がんぷれんに、懦夫だふも志を立てる有り。
柳下恵の風を聞く者は、薄夫はくふあつく、鄙夫ひふも寛なり。
百世の上に奮ひ、百世の下、聞く者興起こうきせざる莫きなり。
聖人に非ずんば、能くかくごとくならんや。
しかるをいはんや、これに親炙する者に於いてをや、と。

現代語訳・抄訳

孟子は云った。
聖人は百世の師である。
たとえば伯夷、柳下恵などは聖人と呼べる人物であろう。
故に伯夷の風を聞けば、頑強なる者は清廉となり、惰弱なる者は志を存して独立の気象を有するようになり、柳下恵の風を聞けば、軽薄なる者は敦厚となり、根性の卑しき者は寛大となるのである。
百世の昔にその生を尽し、その生き方が百世の後に生きる者達を興起させるに至る、聖人でなければ、どうしてこのような感化を与えるであろうか。
ましてや聖人と時を同じくして聖人に親炙せし者達に至っては、どれ程の感化を得たであろうか、と。

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語句解説

伯夷(はくい)
伯夷。周初の人で孤竹君の長子。父の意を察して弟の叔斉と王位を譲り合う。後に文王を慕って周に行き、周の武王の殷討伐を諫め、聞き入れられずしてその治世を善しとせずに餓死。叔斉と共に清廉な人物の代表とされる。なお、舜の時代に礼を司った伯夷とは別人。
柳下恵(りゅうかけい)
柳下恵。春秋時代の魯の大夫。周代七賢の一人。直道を守って君に仕えたという。
頑夫(がんぷ)
道理のわからぬ男。旧習にとらわれてものわかりの悪い男のこと。
懦夫(だふ)
無気力な男。おくびょうな男。
薄夫(はくふ)
人情の薄い男。薄情な男。軽薄な男。
鄙夫(ひふ)
愚夫。小人。心が狭くいやしい人。
興起(こうき)
奮起。心がふるいたつこと。感動してふるいたつこと。
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