荘子
荘子-外篇[刻意][2.1]
故に曰く、
故に曰く、
聖人は休す、休すれば則ち平易たり、平易たれば則ち恬淡たり。
平易恬淡は、則ち憂患も入る能はず、邪気も襲ふ能はず、故に其の徳は全くして神は
故に曰く、
聖人の生や天行す、其の死や物化す、静にして陰と徳を同じうし、動にして陽と波を同じうす。
福の先と為さず、禍の始と為さず、感じて後に応じ、迫りて後に動き、已むを得ずして後に起つ。
知を故と
其の生に浮ぶが若く、其の死に休むが若し。
思慮せず、
虚無恬淡にして、乃ち天徳に合す、と。
現代語訳・抄訳
故に古語に曰く、
恬淡寂漠、虚無無為なるは、天地の根本原理にして道徳の本質である、と。
故に古語に曰く、
聖人は虚無の間に休し、休するが故に複雑を解して平易とし、平易なるが故に万事に恬淡であり、平易にして恬淡なれば、何の憂いも生ぜず、邪気もまた来ること無く、故にその徳は全くしてその精神は安んずるに至るのである、と。
故に古語に曰く、
聖人は生まれ出ずるや自然のままに天理と合し、死せるや万物と化し、その動静は陰陽に沿いて四時の運行に順う。
福禍終始を知りて妄動せず、感じて後に応じ、迫りて後に動き、やむを得ずして後に起つ。
形迹を去りて天の時に遵い、天理と共にあるが故に、天と合して災なく、物に順じて累なく、人に競わずして非なく、鬼に同じて責なし。
その動静は生死の間に優遊するが如く、有我を断ち、事に先立ちて謀らずして自然にあり、深く蔵して虚の如く、信ありて期する必要もなく、当然を尽して遊離せず、外物に固執すること無くして憂い生ぜず、その精神は純粋にして、その魂魄は窮まること無し。
故に聖人のあり方たるや虚無恬淡にして天とその徳を合しているのである、と。
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