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列子

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列子-説符[6]

宋人に其の君の為に玉を以て楮葉ちょようつくる者有り、三年にして成る。
鋒殺莖柯ぼうさつけいか毫芒繁澤ごうぼうはんたく、之を楮葉ちょようの中に乱すも、わかつ可からざるなり。
此の人、遂に巧を以て宋国にむ。
子列子の之を聞ひて曰く、
天地をして物を生ぜしめて、三年にして一葉を成す、則ち物に葉の有る者はすくなからん。
故に聖人は道化をたのんで智巧を恃まず、と。

現代語訳・抄訳

宋の人で主君に献上する為に楮の葉を玉で彫刻せし者が居た。
三年かかって出来たその玉の葉は、本物と寸分違わずして見分けのつかぬものであった。
故にその巧みさを以て宋の国に食禄を得るに至ったという。
これを聞いた列子は云った。
天地が物を生ずるに、三年かかって一枚の葉しかできぬとあらば、葉を有する植物に葉は無くなってしまうであろう。
だからこそ、聖人は無為自然なる道化を尊んで智巧で飾ることを戒めるのである、と。

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語句解説

楮葉(ちょよう)
楮(こうぞ)の葉。木の名前で桑科の落葉低木。樹皮から紙をつくる。
鋒殺莖柯(ぼうさつけいか)
「鋒殺」は葉の縁にあるぎざぎざ。「莖柯」は茎と枝のこと。尚、莖は茎の旧字。
毫芒繁澤(ごうぼうはんたく)
「毫芒」はとげ、微小のもの。「繁澤」は色艶。
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