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黄石公

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三略-中略[1]

夫れ三皇さんこうは言無くして、化は四海しかいながる、故に天下功を帰する所無し。
帝は、天をたいし地にのっとり、言有り令有りて、天下太平なり。
君臣功を譲って、四海に化行われ、百姓その然る所以を知らず。
故に臣をして礼賞を待たずして功有り、美にして害無からしむ。
王者は、人を制するに道を以てし、心を降し志を服し、を設けて衰にそなふ。
四海に会同して、王職廃せず、甲兵こうへいの備え有りと雖も、戦闘のうれひ無し。
君は臣を疑うこと無く、臣は主を疑うこと無く、国定まり主安し。
臣義を以て退く、亦た能く美にして害無し。
覇者は士を制するに権を以てし、士を結ぶに信を以てし、士を使うに賞を以てす。
信衰うれば士うとんじ、賞くれば士命を用いず。

現代語訳・抄訳

三皇は至れしもの、その徳は誰に知られることもなく天下に普く行き渡る、故に天下に功の生ずる気配なし。
帝道もまた至れしもの、天地に順って相応じ、言を発し令を下して天下は太平を保つ。
君臣の誰しもが功を譲って争うことなく、天下に普くその徳は行き渡るも、あまりに自然であるが故に民は何も気付くことなし。
故に臣は自ずから民のために働き、善行ありて敢えて害を為す者はいない。
王者は王道を示して人を導き、己を以て人々の志を従え、法制を設けて国の衰退に備える。
故に天下は王者の元に帰し、王職は廃ることなく、甲兵の備えあるも戦闘の憂いなし。
君臣ともに疑う事無く、国はよく定まって主は安んずるに至る。
臣は己が義によりて譲るが故に善行ありて害なし。
覇者は権力によりて士を制し、信によりて互いに結ばれ、褒賞ありて士を使う。
信が衰えれば士は離れ、褒賞が無くなれば士は命令に服さない。

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語句解説

四海(しかい)
世の中のこと。古代において世界は四方を海に囲まれていると考えていた。
甲兵(こうへい)
武装した兵士。よろいと武器。また、戦争の意にも用いる。
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