1. 晏嬰 >
  2. 晏子春秋 >
  3. 内篇 >
  4. 諫下第二 >
  5. 10

晏嬰

このエントリーをはてなブックマークに追加

晏子春秋-内篇[諫下第二][10]

景公出猟しゅつりょうす、山に上りて虎を見、澤に下りて蛇を見る。
帰す、晏子を召して之を問ひて曰く、
今日、寡人かじん出猟す、山に上らば則ち虎を見、澤に下らば則ち蛇を見る、ほとんど所謂不祥なりや、と。
晏子対へて曰く、
国に三不詳あり、是れあずからず。
夫れ賢有りて知らざるは一の不詳なり。
知りて用ひざるは二の不詳なり。
用ひて任せざるは三の不詳なり。
所謂不詳とは、乃ち此のごとき者なり。
今、山に上りて虎を見しは、虎の室なり。
澤に下りて蛇を見しは、蛇の穴なり。
虎の室にき、蛇の穴にき、而して之を見る、曷為なんすれぞ不祥ならん、と。

現代語訳・抄訳

景公が出猟した。
山に登ると虎と出会い、沢に下ると蛇に出会った。
帰って晏子を召して問うて云った。
今日、吾は狩りをしたが、山に行けば虎に出会い、沢に行けば蛇に出会った。
これは何か好ましくないことなのではないか、と。
すると晏子が答えて云った。
国には三つの不詳がありますが、そのような出来事とは違います。
野に遺賢ありて知らぬこと、これ一の不詳です。
賢あるを知りながら用いない、これ二の不詳です。
賢を用いながら任せることができない、これ三の不詳です。
いわゆる不詳と申しますのは、このような事をいうのです。
今、山に登って虎に出会うは虎の室であり、沢を下って蛇に出会うは蛇の穴に過ぎません。
虎や蛇の棲みかに自ら赴いてこれに出会う、それがどうして好ましくないことになりましょう、と。

出典・参考・引用
塚本哲三編「晏子春秋・新序」38/307
関連タグ
晏子
晏子春秋
出典
<<  前のページ  |   ランダム   |  次のページ  >>

語句解説

寡人(かじん)
王侯やその夫人が自分を謙遜していう言葉。
<<  前のページ  |   ランダム   |  次のページ  >>

関連リンク

晏嬰
中国春秋時代の政治家。晏子とも尊称される。斉に仕え、景公の代では…
晏子春秋
中国春秋時代の晏嬰の言行録をメインに描かれるた書物。晏子とは晏嬰…
景公
中国春秋時代の斉の君主。在位は紀元前547-490年前君であった兄の荘…


Page Top