晏嬰
晏子春秋-内篇[諫下第二][10]
景公
帰す、晏子を召して之を問ひて曰く、
今日、
晏子対へて曰く、
国に三不詳あり、是れ
夫れ賢有りて知らざるは一の不詳なり。
知りて用ひざるは二の不詳なり。
用ひて任せざるは三の不詳なり。
所謂不詳とは、乃ち此の
今、山に上りて虎を見しは、虎の室なり。
澤に下りて蛇を見しは、蛇の穴なり。
虎の室に
現代語訳・抄訳
景公が出猟した。
山に登ると虎と出会い、沢に下ると蛇に出会った。
帰って晏子を召して問うて云った。
今日、吾は狩りをしたが、山に行けば虎に出会い、沢に行けば蛇に出会った。
これは何か好ましくないことなのではないか、と。
すると晏子が答えて云った。
国には三つの不詳がありますが、そのような出来事とは違います。
野に遺賢ありて知らぬこと、これ一の不詳です。
賢あるを知りながら用いない、これ二の不詳です。
賢を用いながら任せることができない、これ三の不詳です。
いわゆる不詳と申しますのは、このような事をいうのです。
今、山に登って虎に出会うは虎の室であり、沢を下って蛇に出会うは蛇の穴に過ぎません。
虎や蛇の棲みかに自ら赴いてこれに出会う、それがどうして好ましくないことになりましょう、と。
- 出典・参考・引用
- 塚本哲三編「晏子春秋・新序」38/307
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