孔鮒
孔叢子-刑論第四[8]
書に曰く、
赤子を保つが若し、と。
子張問ひて曰く、
訴へを聴くに此の若くを以てするは可なるか、と。
孔子曰く、
可なり。
古の訴へを聴く者、其の意を悪みて其の人を悪まず、之を生かす所以を求め、其の生かす所以を得ずして乃ち之を刑す。
君、必ずや衆と共に
今の訴へを聴く者、其の意を悪まず其の人を悪み、殺す所以を求む。
是れ古の道に反するなり、と。
現代語訳・抄訳
書経に曰く、
赤子を保つが若し、と。
子張が問うて云った。
訴えを聴くに赤子を保つが如くに慈愛を以て決するは可なるか、と。
孔子が云った。
可なり。
古の訴えを聴く者は、其の意を悪みて其の人を悪まず、ということを旨とした。
罪を犯した者が居れば、生かすに足る所以を求め、その上で生かすに足る部分が無ければ刑を実行した。
このようにして裁断する者は必ず衆の人情に沿うようにして行なったのである。
だが、今の訴えを聴く者は、其の意を悪まず其の人を悪むという風で、その殺す所以を求めようとする。
これは古の道に反するものに他ならない、と。
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語句解説
- 子張(しちょう)
- 子張。春秋時代の陳の人。孔子の門人。名は師。孔子には「師や過ぎたり」と称された。才気溢れるも仁ならざる人物であったとされる。
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