孔鮒
孔叢子-刑論第四[7]
書に曰く、
仲弓問ふて曰く、
何の謂ひぞや、と。
孔子曰く、
古の
死者、生く可からず、断者、属す可からず。
過ちて赦さざる、之を逆と謂ふ。
故に過ちを
書に曰く、
又た曰く、
其の
現代語訳・抄訳
書経に曰く、
仲弓が問うて云った。
どういう意味でしょうか、と。
孔子が云った。
古の訴えを聴く者は、貧窮を察し、孤独を哀れみ、伴侶を亡くした者、老人、子供、不肖の者で身寄りなき者が在れば、これに人情を以て必ず憐れみ哀しむ。
死したる者は生き返ることは無く、孤独の者は寄るべき所無きが故である。
老を刑する、これを悖ると謂い、幼を刑する、これを酷と謂う。
過失にして刑を減ぜぬ、これを逆と謂い、尽く過失を以て小罪とする、これを
故に過ちを
書経に曰く、
死刑の如き大罰において疑わしきが存するならば減刑せよと。
また云う。
無辜の民を殺さんよりは、むしろ常法に沿わずとも許せ、と。
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語句解説
- 哀矜(あいきょう)
- 同情する。不憫に思う。かなしみあわれむこと。
- 冉雍(ぜんよう)
- 冉雍。春秋時代の魯の思想家。字は仲弓。孔門十哲のひとりで徳行に優れるとされた。
- 孔子(こうし)
- 孔子。春秋時代の思想家。儒教の始祖。諸国遊説するも容れられず多数の子弟を教化した。その言行録である論語は有名。
- 鰥寡(かんか)
- 老いて妻無き者と夫無き者のこと。
- 老弱(ろうじゃく)
- 老幼。老年と弱年のこと。
- 不肖(ふしょう)
- 不才の者。愚か。また、自分が至らぬ者であると謙遜していう。
- 大辟(たいへき)
- 五刑の一。死刑。死罪。大きな刑罰。
- 不辜(ふこ)
- 無実。また、無実の罪をこうむった人のことを指す場合もある。
- 不経(ふけい)
- 常法に背くこと。道理に合わないこと。大きな罪。
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