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孔鮒

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孔叢子-刑論第四[5]

書に曰く、
従に非ずれ従ふ、と。
孔子曰く、
君子の人に於けるや、語らざる有るなり、聴かざる無きなり、況や訴へを聴くをや。
必ず其の辞を尽くす。
夫れ訴へを聴く者、或ひは其の情に従ひ、或ひは其の辞に従ふ、辞に従ふ可からざれば、必ず断ずるに情を以てす。
書に曰く、
人に小罪有り、せいに非ず、乃ちれ終う、自ら不典をし、もっしかるはの罪小なる有りとも、乃ち殺さざる可からず。
乃ち大罪有り、終ふるに非ず、乃ち眚災せいさいを為し、たまたましかるは、既にりてつみむるのみにして、れ乃ち殺す可からず、と。

現代語訳・抄訳

書経に曰く、
従うに非ずしてこれ従ふ、と。
孔子が云った。
君子の人に対するあり方には、語らないということが有るも、聴かないということはない。
ましてや訴えを聴くにおいては尚更のことである。
弁解する者は必ず言葉を尽くしてその嫌疑を解かんとする。
訴えを聴く者は、或いはその人情に従い、或いはその辞に従う。
辞に従うを得なければ、必ず裁断するに人情を巡らすべきである。
故に書経に曰く、
人に小罪有り、過ちに非ずして故意なれば、終身改めるを得ず。
自ら進んで則るべき道を踏み外し、以て罪を犯したならばその罪小なりとも、乃ち死刑に処すべし。
人に大罪有り、心悔いて終身悪を為さざらんと欲す。
乃ち過失によりてたまたま罪を犯したならば、その罪を糾問するも死刑に処さず、と。

出典・参考・引用
二条基弘・東久世通禧著「孔子之聖訓」176-177/192
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語句解説

孔子(こうし)
孔子。春秋時代の思想家。儒教の始祖。諸国遊説するも容れられず多数の子弟を教化した。その言行録である論語は有名。
眚(せい)
あやまち、わざわい、あやしい。目がかすむ病。眚災で過失による罪をいう。
眚災(せいさい)
過失による罪。書経の康誥にみえる。
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