孔鮒
孔叢子-刑論第四[3]
孔子曰く、
民の生ける所以の者は衣食なり。
上、民に教へざれば、民、其の生に
故に古の盗に於ける、之を
今、其の教へを先にせずして一に之を殺す、是を以て罰行はれて善に
夫れ赤子も其の父母を慕ふを知る、審なるに由るなり。
況んや政を
此の二者を審らかに知らば、則ち上盗息まん、と。
現代語訳・抄訳
孔子が云った。
民が生活するに一番の関心事は衣食である。
上に立つ者が民を教導せねば、民はその生活に安んずるを得ず、飢えと寒さに苦しみて節操を守る者などはほとんどいない。
故に古代の盗人においてはこれを悪むとも殺すことはなかったのである。
しかし、今はその教導するを先にせずしてただ殺すだけとなった。
故に罰するも反省を得ずして善に
赤子が自然にして父母を慕うは、審なるに由るのである。
ましてや政治を司る者が、その賢なる者を廃して不賢なる者を興すようでは、どうして民を化することができようか。
この賢不賢を審らかに知らば、やがては大盗に及ぶ者などは居らぬようになるであろう、と。
- 出典・参考・引用
- 二条基弘・東久世通禧著「孔子之聖訓」175-176/192
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