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司馬遷

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史記-本紀[五帝本紀][6]

顓頊高陽せんぎょくこうようは、黄帝の孫にして昌意しょういの子なり。
静淵せいえんにして以て謀有り、疏通そつうにして事を知り、材を養ひて以て地に任じ、時を載きて以て天を象し、鬼神に依りて以て義を制し、気を治めて以て教化し、絜誠けつせいを以て祭祀す。
北は幽陵に至り、南は交阯こうしに至り、西は流沙に至り、東は蟠木はんぼくに至る。
動静の物、大小の神、日月の照する所、砥属しぞくせざる莫し。

現代語訳・抄訳

顓頊は名を高陽といい、黄帝の孫で昌意の子である。
その人柄は静寂にして深淵、智謀溢れ広く事に通じ、材物を養いて地を恵み、四時に動静明らかにして天をなぞらえるが如く、万物生成の理に由りて義を制し、各々の気の動きを律して人々を教化し、神や祖先を祭る際には真心を以て執り行った。
その徳は四方八方普く行き渡り、動物草木、名山大川、丘陵墳衍ふんえん、ありとあらゆるものが服属したという。

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語句解説

顓頊(せんぎょく)
顓頊。五帝の一人。伝説上の人物で高陽に都したので高陽氏と称したとされる。黄帝の孫でその跡を継いで帝位に就いた。
黄帝(こうてい)
黄帝。軒轅(けんえん)。伝説上の帝王で理想の君主として尊ばれる。文学、農業、医学などの諸文化を創造したとされる。
疏通(そつう)
道理がよく通ずること。意思などが相手によく通じること。
絜誠(けつせい)
清誠。絜は「きよい」「いさぎよい」「あきらか」の意。
墳衍(ふんえん)
水ぎわと低地のこと。
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