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司馬遷

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史記-列傳[仲尼弟子列傳][49-50]

言偃げんえんは呉人なり、字は子游。
孔子よりわかきこと四十五歳。
子游、既にすでに業を受け、武城の宰と為る。
孔子過ぎ、弦歌げんかの声を聞く。
孔子、莞爾かんじとして笑ひて曰く、
鶏を割くにいづくんぞ牛刀を用いん、と。
子游曰く、
昔、偃はれを夫子に聞けり、曰く、君子道を学べば則ち人を愛し、小人道を学べば則ち使ひ易し、と。
孔子曰く、
二三子、偃の言は是なり。
前言は之にたわむるるのみ、と。
孔子以て子游を文学に習ふと為す。

現代語訳・抄訳

言偃は呉に生まれ、字を子游といった。
孔子より四十五歳若かったという。
子游は孔子に推薦されて武城の代官となった。
ある時、孔子が子游の治めている地域を通っていると弦歌を聞いた。
これに孔子は思わず微笑んで言った。
この小さな邑で礼楽による統治とは、まるで鶏を割くに牛刀を用いているようなもので、なんと立派なことだろう、と。
これを聞いた子游が言った。
昔、私は先生から聞きました「君子は道を学べば人を愛し、小人が道を学べば謙虚となる」、と。
これを聞いた孔子が他の弟子達に言った。
皆よ、子游の言は是である。
私の先ほどの言葉は戯れであった、と。
孔子は子游を文学に優れていると称賛した。

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語句解説

子游(しゆう)
子游。春秋時代の学者。江蘇呉の人。孔子十哲の一人。文学に優れていたとされる。
弦歌(げんか)
弦楽器を弾きながら歌を歌うこと。礼楽の作法の一つであろう。
莞爾(かんじ)
微笑すること。
二三子(にさんし)
目上の人や先生が数人に対して呼びかける言葉。お前たちの意。
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