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朱熹

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近思録-道体[2]

誠は為す無し。
に善悪あり。
徳は愛を仁と曰ひ、宜しきを義を曰ひ、理を禮と曰ひ、通るを智と曰ひ、守るを信と曰ふ。
れを性のままし、焉れに安んずるを之れ聖と謂ふ。
焉れに復り、焉れをるを之れ賢と謂ふ。
発することひそかにして見る可からざる、つることあまねくしてきわむ可からざるを之れ神と謂ふ。

現代語訳・抄訳

誠とは静にして動ぜざるもの、然るに人は一念生じて動く故に善悪を生ず。
故に人は徳を修めて善へと帰さなければならず、その徳が何かと言えば、自然と人に備わりしもの、即ち、愛が仁であり、宜しきが義であり、理が禮であり、通るが智であり、守るが信なのである。
これを意識せずして自然と体現するに至る者を聖と云い、自らこれを望んで修めるに至る者を賢と云う。
然るに聖も賢も天理の霊妙な働きに存するのであって、この霊妙にして天地万物全てに通じ、変化窮まり無くして造化発展せしむる働きを神と呼ぶのである。

出典・参考・引用
久保天随著「漢文叢書第10冊」38-40/556
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語句解説

幾(き)
心に一念が生ずること。生ずる故に善悪も生ず。尚、無なれば善悪すら生じず天理のままであるから為すことは全て誠。でも人は一念を生じてしまうのが道理。故に徳を修めることに向かう。
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